健康情報 高脂血症

●血液中の脂質って?

血液中に存在する脂質は「血清脂質」と呼ばれ、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4つがあげられます。脂質はいわゆる「油」であるため、そのままでは血液に溶けることができません。血液中では水となじみやすいようにある種のタンパク質と結びついた小さな粒子となって存在しています。この粒子を“リポたんぱく”といい、タンパク質は脂質を運ぶための“コンテナ”のような働きをしているといえます。コレステロ一ルや中性脂肪などの脂質は“リポたんぱく”の形で血液に溶けこみ、体内をめぐって、必要な箇所に送り届けられているのです。「脂質」というと、健康を損なう悪の代名詞のようにとられがちですが、実際には、体内に広く存在し、生命を維持していく上で欠くことのできない重要な働きをしています。特にコレステロールと中性脂肪は動脈硬化と深い関係にあることがわかっている脂質で、体内では次のような役割を果たしています。

★コレステロール
からだをつくる細胞や細胞膜を構成する主な成分。体内量の約50%は脳と筋肉に存在。 性ホルモンや副腎皮質ホルモンを合成する材料になったり、食物の消化・吸収に必要な胆汁酸の原料として使われる。
★中性脂肪
エネルギーの貯蔵庫。
食事が十分とれなかったり、激しい運動をしてエネルギーが不足したときに、分解されてエネルギー源として利用される。逆に糖、脂肪などの摂取が多すぎた場合、余ったエネルギーは中性脂肪として蓄積される。また、皮下脂肪や内臓脂肪となり、体温の維持や内臓を支える働きも持つ。
コレステロ一ルには“善玉”と“悪玉”がある
血液中の脂質は血液となじみやすいリポたんぱくという粒子で存在していますが、その組成などから低比重リポたんぱく(LDL)や高比重リポたんぱく(HDL)に分類されます。LDLは、からだのすみずみの細胞にコレステロールを運びますが、増えすぎると動脈硬化などを促進するため、悪玉コレステロールと呼ばれます。一方、HDLは体内の過剰なコレステロ一ルを回収し、肝臓に戻す働きがあるため、善玉コレステロ一ルと呼ばれています。

●中高年になると血液中の脂質が増えるのはなぜ??

からだに必要なコレステロールは、約3割が食べ物から取り入れられ、残りの約7割は肝臓などで作られています。幼少期から青年期にかけて、からだの形成が行われている時期は多くのコレステロールが必要です。しかし、中高年期になると必要とされるコレステロールの量が減ります。また、コレステロールも中性脂肪も、食べ物から摂取したエネルギーをもとにからだの中で作られるため、カロリーの高い食事が多かったり、運動する機会が少なかったりすると需要と供給のバランスが崩れてしまいます。中高年はこうした背景から血中脂質が高くなる要因を多くもっているといえます。

●脂質が多いとこんな危険が・・・

脂質が必要以上にたまったドロドロ血液では、動脈硬化が促進されます。血中濃度が高くなるとコレステロールは、血管壁に取り込まれます。すると動脈硬化を引き起こし、血管の内腔が狭くなります。一方、中性脂肪は、善玉コレステロールを減らし、間接的に動脈硬化を促進すると考えられています。コレステロールや中性脂肪の多い高脂血症は、病気そのものが直接生命に左右するものではありません。しかし、ほおっておくと動脈硬化や心筋梗塞・狭心症・脳梗塞と言った恐ろしい病気を引き起こすので注意が必要です。生命を維持していくためには一定量の脂質は必要です。「人は血管と共に老化する」と言われますが、動脈硬化は加齢による血管の老化を早めます。ですから、血管をいつまでも若々しく保つために、脂質を多くも少なくもない適度な値を保つよう日常生活から心掛ける事が大切です。近年、食生活の変化に伴って、高脂血症は増えていると言われており、50歳代では男女共に6割の人が高脂血症であると言う報告があります。

血液ドロドロをなおす!!

コレステロールや中性脂肪を減らすには、食生活の改善や運動を心がけることが大切です。 以下に食生活での工夫を挙げましたので参考にしてみてください。
●高カロリー食品を避ける
余ったエネルギーが脂質へと変わります。そのため、摂取エネルギーを減らすことが大切になってきます。肉類や糖類(ごはんなどの穀類やお菓子、ジュースなど)の取りすぎに注意することはもちろん、質の改善も必要です。同じ肉類でもヒレ肉やささ身など脂肪の少ない部分を食べるようにしましょう。
自分がよく食べる食品のエネルギー量を覚えておくとよいでしょう。

<100kcalに換算してみると・・・>
ご飯軽く1杯・ドーナツ約2/3個・ポテトチップス約18g・ビール大瓶約1/3本・日本酒(徳利)1/2本・りんご1/2個

●週3,4回は魚料理を
魚に含まれる油には血管をしなやかに保ち、動脈硬化を防ぐ作用があります。週に3〜4回はメインを魚料理にするなど、意識して魚をとるように心がけましょう。
☆ただし食事や運動でも脂質の値が改善しない場合には、遺伝的に体内で作られる量が多いことが考えられます。一度、専門家に相談するとよいでしよう。

●油分を控える
普段の食事から油を一切なくしてしまうのは難しいため、まずはバターやマーガリン、マヨネーズなどの調味料を控えてみましょう。薬味やスパイスなど、香りのあるものを取り入れたり、すだちやレモン、柚子などの柑橘類を上手に利用すれぱおいしく食ぺられます。

●食物繊維の補給
食物繊維は、腸内で脂質や糖質を吸着して、一緒に排泄させてしまう働きがあります。1日に摂りたい野菜の量は300g。これはキャベツなら1/4個、ほうれん草なら1束強、に相当します。緑黄色野菜や淡黄色野菜をはじめ、きのこ類や海草などの食物繊維をバランスよく食べましょう。



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