健康情報 骨粗鬆症

骨粗鬆症って?

骨粗鬆症とは、骨の主成分であるカルシウムやコラーゲン、リン酸などが減って骨の構造が粗くなり、「す(髭)」がはいったようにスカスカになった状態をいいます。骨は強さとしなやかさを保つために絶えず古い骨から新しい骨へと生まれ変わっています。これを「骨代謝」といいます。加齢に伴って、この骨代謝のバランスが崩れ、古い骨を溶かす『骨吸収』に対して、新しい骨を作り出す『骨形成』が追いつかなくなってしまいます。さらに、年をとると腸でのカルシウムを吸収する力が低下するため、誰でも、骨量が減り、骨はもろくなってしまうのです。また、女性は更年期を迎えると骨量が急激に減少します。これは、骨代謝のバランスを調節している女性ホルモンが、更年期になると減少し、骨からカルシウムの溶け出す量が多くなってしまうからです。 こうして、骨量がピーク時の2〜3割も減り、骨の構造が粗くなり、その結果として骨折を起こしやすくなる状態を骨粗鬆症といいます。

骨の内部はどうなっている?

からだのカルシウムの99%を蓄えている骨は、いわば、カルシウムの貯蔵庫です。では、骨の内部は一体どのようになっているのでしょうか?骨を輪切りにして断面をみると、骨の内部は柱や梁のような役割をする骨梁(こつりょう)が網の目のように縦横に張り巡らされています。この骨梁は強い圧カがかかる部分に特に集中していて、骨の強度を高めるのに役立っています。カルシウム不足などによって、骨の中のカルシウムが溶け出すと、この骨梁が減少し、だんだんすき間だらけになります。すると、圧カに耐えられなくなり、骨折が起こりやすくなるのです。

骨粗鬆症が怖い理由

骨粗鬆症の三大症状には「腰や背中が痛い」「身長が縮む」「背中が丸くなる」が挙げられます。しかし、実際は自覚症状があまりないまま、ちょっとしたことで転んで骨折してしまい、病院へいったら骨粗鬆症だったという場合も多くみられます。骨粗鬆症で一番の間題となるのは、この骨折です。骨粗鬆症では、背骨や手首、二の腕の付け根や太ももの付け根などの骨折を起こしやすくなります。特に、太ももを骨折してしまうと、歩けない状態が続き、高齢者の場合は結果的に寝たきり、痴呆へつながってしまうこともあります。骨の衰えは外からでは分かりません。徐々に骨量が減り、骨折のリスクが高まっていても気がつかないところに骨粗鬆症の恐ろしさがあります。
最近では、若い人でも骨量の少ない、いわゆる骨粗鬆症予備群の人が増えています。ダイエットを早いうちから繰り返し行った女性には、骨密度の低い人が多くみられます。これは、食事制限による慢性的なカルシウム不足に加えて、ホルモンのバランスが崩れ、女性ホルモンの量が減ってしまうことが関係しています。さらに、朝食を食べないといった欠食習慣のある人やタバコを吸う人も骨量が少ない傾向が見られます。今や、骨粗鬆症はお年寄りだけでなく、若い人にも注目してほしい病気なのです。 加齢に伴って、骨量が減ってしまうのは、生理的な変化といえます。ですから、若いうちから骨量をできるだけ多い状態に保っておくことが骨粗鬆症を予防する重要なポイントとなってきます。骨量を維持するためには、カルシウムの豊富な食事を摂るほか、適度な運動を行うことも効果的です。普段、運動をする習慣のない人は、ウォーキングやストレッチなどの簡単な運動からはじめてみるとよいでしょう。

上手なカルシウムの取り方

骨を丈夫にして骨粗鬆症を防ぐためには、毎日の食事でしっかりとカルシウムを摂ることが大切です。カルシウムそのものが、腸から吸収されにくい栄養素であるうえに、日本人はこのカルシウムの摂取が、ほかの栄養素に比べて少ないといわれています。以下に効率よくカルシウムを摂る工夫を挙げてみました。
●吸収のよいカルシウムを摂る!
特にカルシウムの吸収率がよい牛乳やチーズなどの乳製品から1日に必要なカルシウム量の半分を摂るようにしましょう。乳製品があまり得意でないという方は乳製品と同様に吸収率の高い豆腐類(豆腐、厚揚げ、がんもどきなど)を食事に摂り入れて利用するとよいでしょう。
●嗜好品を控える!
コーヒーには利尿作用のあるカフェインが含まれているため、尿量を増やすとともに、カルシウムの排泄を増やします。また、アルコールは飲み過ぎると腸からのカルシウムの吸収を妨げます。どちらも飲みすぎには、注意が必要です。
●おいしく食べる!
胃酸の分泌によって、カルシウムは吸収しやすくなります。そのため、食事をおいしく食べることで、胃酸の分泌が高まり、カルシウムの吸収も高まります。
●カルシウムの吸収をよくするものと一緒に摂る!
ビタミンD(さんま、かつお、しいたけなどに多い)は腸管からのカルシウム吸収を高める効果があります。また、ビタミンK(レタス、ブロッコリー、納豆などに多い)はカルシウムを骨に沈着させる作用があるので、積極的にとりたい栄養素です。
HOMEに戻る