健康情報 花粉症

毎日寒い日が続いていると、早く暖かい春がやって来ないかと待ち遠しくなるものです。しかし、春になるとまた、あの辛い症状が・・・と憂うつになる人も多いのではないでしょうか。そうです、花粉症の全盛シーズンの到来です。この時期になると、鼻炎薬や点鼻薬、点眼薬などが手放せないという人が増える一方、最近では医療機関において症状が現れる前から治療を開始する「予防的な治療」が広く普及するようになりました。毎年のことだからこそ、早めの対策が肝心なのです。そこで、今からできる花粉症対策について考えてみましょう。

花粉症は年々増えている

近年、わが国ではアレルギー性鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患で悩む患者さんが年々増加しています。中でも花粉症の患者数は1000万〜1500万人にも及び、特にスギ花粉症はこの20年で3〜5倍に増加しているといわれています。今や花粉症は国民病の一つといえます。花粉症が増加している背景には、花粉量が増加していること以外に、環境的な要因も関係していると考えられています。自動車の排気ガスをはじめとする大気汚染は、目や鼻の粘膜を過敏にしてアレルギーを起こしやすい下地をつくります。その上、都市の地面はほとんどがアスファルトで覆われているので、地表に落ちた花粉は土に吸収されず、風によって何度も空中に舞い上がることになります。都会に住む人に花粉症が多発しているのは、こうした環境の影響が大きいことが推測されます。

花粉症には地域差がある
花粉症は、その地域に生息する花粉が原因で起こるため、地域によって原因となる花粉の種類が異なります。その例として、スギ花粉の飛散のほとんどない北海道地方には、スギ花粉症の患者さんはいませんが、そのかわりに、カモガヤやチモシーなどイネ科の植物やカバノキ科の樹木の花粉症患者さんが多くいます。また花粉だけではなく、ダニやカビ、ほこりなどのハウスダストによる鼻炎も同じメカニズムで発症します。そのため、辛い症状を予防するためには、まず自分がどの物質に、そしてどの時期に気をつけなければならないのかをきちんと把握しておくことが大切です。原因物質が分からない場合には、一度医療機関で検査を受けると良いでしょう。

花粉とは長〜いお付き合い
去年までは何の症状もなかった人が、春先のある日から鼻水やクシャミの症状がひどくなる・・・と、いったように花粉症は、ある年に突然やってくるものです。花粉の飛散が終われば症状は自然に治まりますが、一度花粉症にかかったら、翌年から花粉の飛ぶ季節の到来と共にまた症状に悩まされることになります。さわやかな季節を快適に過ごす為にも専門家と相談して適切な予防や治療を行うと共に、自分でも予防対策を講じ、花粉症と上手に付き合っていきましょう。

今から実践!花粉症対策
花粉症などアレルギー疾患は、遺伝的にアレルギーになりやすい体質を持っていること、そして花粉などのアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が身の回りに多く存在すること、更に体力や抵抗力が落ちた時に症状がひどくなります。その為、症状を軽減し予防するには、この3つが重ならないよう努めることが大切です。この中で、遺伝的な問題を改善することは難しいですが、それ以外の2つへの対策は可能です。そこで、次のことに気をつけましょう。

<抵抗力を高めよう>
疲れがたまっていたり、無理が重なって抵抗力が落ちると、アレルギーの症状がひどくなると共に、様々な病気の原因となります。今から症状の出にくい元気な身体づくりを心がけることこそ、花粉症対策には重要です。特に、鼻の粘膜には花粉やウイルスの侵入を防ぐ防御機能が備わっています。この防御機能を十分に発揮させる為にも次のことに気をつけましょう。
●タバコや過度のアルコールは控えましょう
●過労や睡眠不足は避け、規則正しい生活を心がけましょう
●ストレスをためないようにしましょう
●血行を良くして、冷えを緩和しましょう
●鼻を乾燥させないよう、湿度に気を配りましょう
●カルシウムやビタミンB、Bなど、粘膜を丈夫にする栄養素をしっかり摂取しましょう

<原因物質を避けよう>
原因である花粉との接触を出来る限り避けることで症状は緩和されます。
●テレビや新聞等で花粉の飛散状況について情報を集め、たくさん飛んでいる日には、なるべく戸外に出ないようにしましょう。
●花粉症の症状は主に鼻と目に現れます。そこで、マスクや眼鏡を利用して花粉の侵入をシャットアウトしましよう。マスクは粘膜の乾燥を防いだり、汚れた空気を吸い込まないようにするなど、鼻の粘膜の刺激を緩和する意味でも効果的です。
●帽子をかぶったり、髪をまとめるなど、髪につく花粉を減らしましょう。また、上着も表面がすべすべした素材のものが望ましいでしょう。

<専門家に相談し、適切な予防、治療を行おう>
現在、花粉症に使用される薬には下記のようなものがあります。症状が現れる前に予防に服用するものや、副作用の少ないものなど、様々な薬剤が開発されています。専門家と相談し、自分に合ったお薬を選択するようにしましょう。
●抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤・血管収縮剤・抗炎症剤・ステロイド吸入剤・点眼薬など

食品にもアレルギーを緩和する効果が!?
私たちの身のまわりにある食品の中にも、花粉症などのアレルギー症状に効果を示すものが知られています。こうした食品を利用するのもよいでしょう。
<赤シソ>
漬物や梅干などに広く利用されている赤シソには、アレルギーを予防、緩和する効果が知られています。
<甜茶>(てんちゃ) 甜茶とは「甘いお茶」という意味で、一般に甜茶と呼ばれるお茶は4種類知られています。その中でも甜葉懸鈎子(てんばけんこうし) というバラ科のお茶は、アレルギーに効果があるとされています。そのほか、ガリカ種のバラ、ボダイジュ、乳酸菌などにもアレルギー予防が知られています。
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